20250513 鹿児島大学 自治体政策論

本日は、九州経済産業局の方が、RESASの講義をしてくださいました。l

【講義要点まとめ】持続可能な地域産業の活性化・地域課題のEBPM的アプローチ

1. 宗像市(福岡県)の事例:観光と一次産業の連携による地域産業強化

• 地域経済循環分析:循環率62.1%、民間消費の域外流出が課題。

• 観光産業:道の駅むなかたが検索上位。観光客流入が確認される。

• 産業構造分析:複合サービス業(郵便局・協同組合など)が稼ぐ力。一次産業も稼ぐ力があるが域外流出あり。

• 仮説立て:一次産業×宿泊・飲食・卸小売業の連携による活性化。

• 比較分析:糸島市と比較し、農水産業の強み・弱みを把握。

• 政策提案:地域資源活用と他産業連携による持続可能な産業形成。

2. 佐世保市(長崎県)の事例:人口減少と働き方改革の両面からのアプローチ

• 人口動態:出生数減少・若年層転出・20万人維持困難。

• 転出要因分析:低収入、仕事・結婚資金の不安、雇用の魅力不足。

• 高卒就業者比率高:大卒人材が求める仕事が少なく、情報通信業などの就業者数が極めて少ない。

• 採用状況:募集に対して採用が追いつかず、特に大卒は約半数のみ採用。

• 初任給・労働条件:全国平均より低い。就業意識は賃金・柔軟性重視。

• 柔軟な働き方推進:副業・兼業、隙間時間活用、育児支援と労働環境整備が課題。

• 施策方向:短期的には柔軟な働き方推進と生産性向上、長期的には産業誘致と雇用創出。

3. 早山町(神奈川県)の事例:ごみ問題へのEBPM的対応

• 課題発見:不法投棄と思われていたが、実は収集後の後出しや分別ミスが多数。

• データ収集:1200回のモニタリング、160箇所の資源ステーション調査。

• 実験実施:チラシ配布や看板設置をランダム化比較実験で効果測定。

• 結果:資源化率が向上。RCTを用いたEBPMの好事例。

4. 久米南町(岡山県)の事例:学生発の地方創生アイデア(大臣賞受賞)

• 課題:農業は主要産業だが高齢化・収入不安・人手不足。

• 提案:「食のサブスク」サービス(宅配・体験・食事)で農業の価値向上。

• 実証実験:農産物宅配・農業体験・商品開発(ホテル連携)を実施。

• 仕組み提案:合同会社設立、ターゲット市場、収支試算も含めた具体案。

• 評価:政策アイデアコンテスト優秀賞、地方創生担当大臣賞を受賞。

総括

• 各地域でデータに基づいた現状分析と仮説構築・検証を行い、EBPMに基づく政策立案を実践。

• 特に、産業連携・柔軟な働き方・人材確保・データ実証などが共通のキーワード。

• 若者や外部人材の活用、デジタルや副業など新しい働き方への適応が今後の重要な政策テーマ。

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